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【映画】麦の穂を揺らす風(ネタバレちょっとだけ)

麦の穂を揺らす風 (2006イギリス) ★★★☆
THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY
(2006イギリス/アイルランド/ドイツ/イタリア/スペイン )
(2006.12.6梅田ガーデンシネマ レディースデー1000円)

1920年代。イギリスの統治下にあるアイルランドに暮らすダミアン(キリアン・マーフィ)は、ロンドンで医者になる予定を変更し、義勇兵として地元でイギリス軍に対抗する道を選ぶ。
しかし、やっと結ばれた和平協定は、共に対英活動を行ってきた同志の分裂を誘う内容だった・・・・。

見ていてとてもつらい映画だった。
イギリスとアイルランド間の紛争やIRAについてあまりにも無知なわたしには、かなり衝撃的でした。
劇中でのイギリス軍の、横暴さ、非情さは目に余るもので、前半は目を背けるシーンも多かったけれど、それよりも衝撃だったのは、講和条約が結ばれた後の内紛。
完全独立を目指す共和国派と、条約を評価する自由国派の対立が深まっていく過程。昨日まで共に自由を目指して戦っていた相手を殺し合う、お互い名前も素性も知っている相手を、政治的思想の違いだけで殺してしまうその気持ちが理解できなくて、それでも、祖国に対する強い思いだけは痛い程伝わってきて、見ていられなかった。アイルランドを愛する気持ちは同じはずなのに、この条約は、共に戦った兄弟の絆さえ断ち切ってしまう。

戦争映画を見るといつも思うことだけれど、自由に対して、祖国に対して、これほどの強い気持ちを抱いたことは、わたしにはありません。だから理解できないのだろうとも思う。
守るべきもの、獲得すべきものがはっきりしていて、自由を必死で求める人たちは、わたしには持ち得ない感情をしっかりと抱いている。逆もまたあるだろう。
この映画の中で起こっていることを批判することはわたしにはできない。それでも心は痛かった。

ケン・ローチ監督の作品は、苦境に立つイギリスの人々を描いたものが多いけれど、この映画は辛すぎです。
そしてこの監督、劇中の風景の捉え方がいつも美しいな、と思う。

「麦の穂を揺らす風」というのは、アイルランドの古い民謡だそうです。劇中で、男たちが太い声で士気を高めるために歌うこの歌。力強くもあり、哀しくもあり、非常に印象的でした。

余談ですが、キリアン・マーフィ。何かの映画評で「ベジタリアンらしく締まった体が・・・」みたいな描写があったけれど、ベジタリアンだからって痩せてるわけじゃないでしょう!
トビー(マクガイア)を見てよ!と思ってしまいました。
雰囲気のある役者さんですね。
「プルートで朝食を」も素敵だったけど、今回の、戦うにつれて、強く、頑なになっていく青年役も印象的に演じきっていました。
自身、アイルランド出身だから思い入れも大きかったのだろうな。

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